大手銀行、メガバンクとも呼ばれる業界は、「学生の人気業界は?」と聞かれれば、商社などと並んで候補に挙げられるほどの人気を長きにわたって勝ち取ってきました。まさに人気業界の一つと言えるでしょう。

ところが、日経新聞電子版の3月6日のコラムのタイトルには「銀行不人気」と書かれており、今までの常識が崩れつつあるのかもしれないと感じたので、少し調べてみることにしました。今回の記事では就活生の「銀行離れ」を検証します。

スポンサーリンク

銀行の人気の推移をランキングで調べました!

まず、学生の志望業界に関する順位を見てみましょう。

(引用元:日本経済新聞(電子版) 「新卒採用戦線、銀行不人気で戦々恐々(日経ビジネス)」※有料会員記事です)
(URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27493520Y8A220C1000000/)

この図を見ると、2015年卒の学生の銀行の志望率が25.6%に対して2019年卒の学生の銀行の志望率は16.2%になっており、9%の人気低下になっていることが分かります。また、2015年卒から人気が下がり、2017年卒で一度浮上したものの、また人気が下がっているというような構造になっていると言えそうです。特に2019年卒は、「素材・化学」や、「水産・食品」だけでなく、大きく飛躍している「情報・インターネットサービス」分野にも追い抜かれています。

続いて、2019年卒の学生の志望企業のランキングを見てみましょう。まずは、2018年卒の画像です。

(引用元:「楽天みん就 新卒就職人気企業ランキング 2018年卒」 の画面をスクリーンショットして編集しました。)

(URL:https://www.nikki.ne.jp/event/20170413/

赤い下線で示した「三菱東京UFJ銀行」、「みずほフィナンシャルグループ」、「三井住友銀行」を今回例に挙げました!三社とも銀行の中でも最大手の会社ですね。2017年卒の順位ではトップ10の中に入っています。2018年では、「三菱東京UFJ銀行」のみトップ10ですが、他2社も上位20位近くでありその人気の高さがうかがえます。

それでは、同サイトの2019年卒のランキングを見てみましょう(引用元は、同サイトの2019年卒版です。同様にスクリーンショットをしてから編集しています。)

(URL:https://www.nikki.ne.jp/event/20180406/?l-id=news_20180406)

前年度9位だった三菱東京UFJ銀行はありませんでした。さらに下に見ていきます。

しかし、上位20位の中にも銀行はなく、さらに下に見ていくと…

(URL:同上)

なんと47位にまで下がっていました!

(URL:同上)
なお、「みずほフィナンシャルグループ」は63位、「三井住友銀行」は70位でした。

また、身近な例として、2月に明治大学で行われたメガバンク志望者向けのセミナーでは、定員500人をオーバーした昨年に対して、今年は定員の半分程度の学生しか来なかったと3月6日の日経新聞が報じています。

やはり今年の就活生にとって、大手銀行は昨年ほど志望度が高い業界ではないことがうかがえます。

しかし、ここまで順位を下げたのはなぜなのでしょうか?確かに2017年卒から2018年卒にも、今回例に挙げた3社は順位を下げていますが、今年はそれよりもはるかに大きく順位を下げています。

次に、その理由の分析を行いたいと思います。

大手銀行の人気が低迷!?その理由とは…

こうした大手銀行の人気の下落の理由として挙げられるのは、やはり昨年の秋に掲げられた経営戦略の改革によるものだと言われています。

そもそも銀行の経営は、ここ最近においては窮地に立たされていると言えます。理由としては、まず低金利が挙げられます。銀行は企業にお金を貸し、その際に出る利息で利益を得てきました。金利が低いということは、お金を大量に貸しても、そこから利益を得られにくいということになります。主軸にしている収入源が低下しているため、銀行の利益は伸びにくくなっているのです。

また、フィンテックとよばれる技術が日々進歩しているという現状があります。これまで人々はお金の出し入れ、送金、保険の加入など金融に関するあらゆる点で銀行の店舗に向かわなければなりませんでした。ところが今や、これらの面をIT技術で解決する企業が登場し、それらが勢いを伸ばしているので、銀行は出遅れた形になっているのです。

これらに人口減少などの理由が加わり、銀行の経営は「構造不況」と呼ばれる状態になっています。

そこで、先に掲げたメガバンク3社は、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションとよばれるソフトウェアを取り入れ、膨大な銀行の事務作業を一気に削減するという方針を取り入れました。ここまでは共通していますが、これまで事務作業をしていた人員をどのようにするかが少し異なっています。

三菱東京UFJ銀行は9500人、三井住友銀行では4000人の人員を営業などの「創造的な仕事を行う部門」に回すとしています。一方、みずほフィナンシャルグループでは19000人の人員の「削減」を行うと発表しました。こうした違いがありますが、一部の識者の見解では、みずほフィナンシャルグループ以外の銀行も削減に切り替えるのではないかと指摘されています。

これらは3~10年単位での計画であるため、すぐに行われるものではありませんが、やはりこうした改革が大々的に発表される現状や、3~5割程度減った新卒採用の枠を考えると、大手銀行へのエントリーは控えるといった選択肢が考えられるのも納得です。

今後大手銀行で採用される人材とは!?

今回の記事では、大手企業の人気が衰退した理由を書きました。とはいえ、大手銀行が今後全く人を採用しないかと言われれば、そんなことはありません。ではどのような人材を大手銀行は求めているのでしょうか。

銀行は現在、改革を行う段階で、それには先述のフィンテックが大きなカギとなります。フィンテックを主軸としたデジタル化にはシステム関連に強い人間が必要です。例えば、みずほフィナンシャルグループでは科学、技術、工学、数学を修めたSTEM」と呼ばれる人材の獲得に注力していることや、三井住友グループで「クオンツ」「デジタライゼーション」と呼ばれるテクノロジーや数学を強調した部門を新設していることが挙げられます。

また、今回挙げた3社の今年の採用メッセージなどを見ると、「個」を持った人材の募集が強調されているように感じました。おそらくグローバル関連やシステム関連の知識や技術を持った人材を想定していると思われます。

銀行の経営に合わせる形で、採用も大きく変化しているようです。

今後はこれらがより強調される形の募集要項になると思われます。大手銀行を志望している学生は、特に注意が必要です。

最後に、三井住友銀行の新卒採用ページに印象的な文言があったので、それを載せておきたいと思います。気になる方は下記のURLを調べてみてください。

(URL:http://www.smbc-freshers.com/)

「君ならでは、を世界へ。」

まとめ

今回の記事をまとめるとこのような形になります。

・大手銀行は現在、経営の問題を改善するべく、採用人数の削減など人員の大幅な改革を行っている。

・このような流れを受け、学生からの人気は下降している。

・一方、銀行では「個性を持った人材」が求められている。

・また、デジタル化のため、システム関連に強い人材が必要であると考えられる。

デジタル化やAIの導入は銀行だけの話ではなく、どんな業種にも言えることです。

自分の志望業種の募集要項は、こまめに確認した方がよさそうです!

(寺田  薫)

スポンサーリンク